全身性ガイドヘルパーの資格に興味があるけど、どうすれば資格取得できるの?
介護系の資格を持っていなくても資格取得は可能?
この資格は自治体ごとに条件設定が異なるので本当にわかりづらいですよね。
この記事では、無資格、無経験から全身性ガイドヘルパー資格を取得した体験記を通じて無資格から資格取得できる方法を紹介していきます。
Contents
ガイドヘルパーとは
ガイドヘルパーとは、障がいのある方の余暇活動としての外出や旅行をサポートするための資格です。
障がい者や高齢者が移動時に直面するさまざまなハードルをクリアすることを手助けし、
外出や旅行が安全で楽しいものになるように支援します。
障がい者支援や介護関連の資格の多くは、
障がい者や高齢者向けの設備が整った施設内や、障がい者や高齢者の自宅内でのサポート(ホームヘルパー等)が中心ですが、
それに対してガイドヘルパーは、施設や自宅の外に出て余暇活動を楽しむためのサポートに特化したものです。
(ガイドヘルパー資格の背景、意義、概要、課題等については、別の記事でご紹介予定です。)
ガイドヘルパーの資格はの3種類あります。
・視聴覚障がい者の移動をサポートをする「視覚障害者同行援護」
・車椅子での移動をサポートする「全身性障害者行動援護」
・知的または精神障がい者の移動をサポートする「知的・精神障害者行動擁護」
以下は、私が知識ゼロ、介護実務経験なしの状態で全身性障害者ガイドヘルパーの
資格取得をした体験記です。
なせガイドヘルパーの資格を取ろうと思ったか
私の本業は旅行業で障がい者ツアーなどの特殊案件にも添乗員として現場に出ます。
車椅子のツアーでは参加条件に介助者の付き添いというのがあるので、添乗員は特に介助行為をすることはありません。
参加者が満足するために、私でもできることがあると思うけど、やってよいのかよくないのか、どうすればよいのかわからない。
そのもどかしさを解消し、私にもできるサポートなら積極的に行いたい。
それに企画や手配の準備段階で無理なく気遣えることがもっとあるのではないか?
そんな思いから、障がい者の外出や旅行をサポートするための学びの場所を探し、ガイドヘルパーの資格を知りました。
まさにこれだ!と思いました。
私は、今後介護の道に進む等ガイドヘルパーの資格を使って収入にしようという意向はありませんが、
養成講座を通して学べることが今の仕事にも役立ちそうだし、万一家族や友人が車椅子になった時に頼もしいサポーターになれるのも魅力。
講座内容は交通機関、ショップ、飲食店、文化施設、観光施設などの実務にも役立つ内容です。
介護専門職でなくてもガイドヘルパー資格を取れるのか
介護専門職ではなくてもガイドヘルパー資格は取れます。
ガイドヘルパー養成講座は、自治体から講座実施の認定を受けた事業者(主に介護専門学校)で
実施されています。
そしてその講座の受講を終了すればガイドヘルパーの資格を取得できます。
ただし、全国すべての自治体が無資格・無経験からからガイドヘルパー資格が取れるというわけではありません。
自治体によってガイドヘルパーになるために必須となる講座(座学+実技)の受講条件が設定されており、
資格保有状況や実務経験がないと講座の受講が認められない自治体が多数あります。
むしろ、資格保有者、実務経験者のみにしか講座受講権利を解放していないという自治体の方が多いように見えますね。
また、受講条件を設けずに対象者を幅広く受け入れているような自治体であっても
コロナ禍での外出制限以降、講座を無期限延期としている学校も多数。
さらに、自治体での受講条件設定がなくとも、学校の方針として受講条件を追加設定している学校もあります。
自分の住む地域では受けられる講座がない場合には、
他の自治体で受けられる講座を探す必要があります。
全身性ガイドヘルパー養成講座のスケジュール
講座は座学と実技から成り、だいたい3日~4日程度、合計24時間程度の構成になっています。
※講座の構成や時間配分も自治体やスクールによって違いがあります。
無資格・無経験でも講座を受講できる学校探し
学校探しは結構大変でした。
なぜ大変だったかと言うと、次のような理由です。
①「ガイドヘルパー」という呼び名も自治体によって違いがある。
「ガイドヘルパー 講座 ○○県」「全身性ガイド 講座 ○○県」「全身性障害者行動援護 講座 ○○県」「全身性障害者移動支援 講座 ○○県」「移動ヘルパー 講座 ○○県」・・・・・・
というように、
ネット検索する時のキーワードを変えて複数回にわたって検索する必要がある。
一つの言葉で調べただけでは、探し漏れが発生します。
②「無資格でOK」とは書いてはいないので、検索で一発で探し当てられない。
一つ一つの講座の受講対象者をチェックしていき、
「受講条件の項目に資格保有や実務経験が書かれていない」講座を探す必要がある。
書かれているものを探すのは簡単ですが、書かれていないものを探すのは大変。
「受講条件」という項目自体はどの講座案内にも入っているので、検索除外にはできないし、
介護系の別の資格とセットで同じサイト内に案内がある場合もあるので別の資格名を検索除外にもできず、
とにかく一つ一つチェックしてつぶしていく必要がありました。
③全国探してやっと見つけた候補は、地域も時期もバラバラ。
開講が無期限延期の講座も多数。
私は東京在住なので都内→首都圏→中部→東北と調べていきましたが、
この時点で無資格の自分でも受講させてくれる学校はたった2か所。
結局47都道府県全部チェックして時間がかかりました。
1か所目は東京郊外。
半年以上先の「開講(予定)。場合によっては延期の可能性があります。」という一か所だけ。
私は半年も待てないし、半年待っても再延期になる可能性もある。
2か所目は宮城県仙台市。
ただし、コロナ以降延期が続いていて、先の開校予定も立っていませんでした。
この時点で日帰り受講はあきらめて、東も西も北もどんどん範囲を広げて47都道府県全部見て見つかったのが
札幌、大阪、愛媛、福岡。
受講は1日では終わらないので、複数回通うとしたら、費用的負担も移動時間も最も少ない大阪にしました。
大阪での講座受講が便利なポイント3つ
①大阪府内には、かなり多くの介護系専門学校があり
毎月のようにどこかの学校でガイドヘルパー養成講座が実施されている。
自分が受けやすい地域と期間の選択肢の幅もあります。
そして何より、無資格からでも受講可能な学校を見つけることができます。
②座学はオンラインで実施している学校が多い。
自分のペースで学べるし、何より毎回大阪に通う必要がないのがありがたかったです。
③スクーリングが必須となる実技も、連続した土日で一気に受講できる学校がある。
このおかげで大阪まで出向くのは1泊2日の1回で済みました。
学校探しは複数の学校の情報を集めた「未来ケアカレッジ」の講座日程一覧が便利です。
私は紆余曲折の調査で最終的にこのサイトから学校を絞り込み、
そのままオンライン申し込み、オンライン決済をし、立て続けに宿の予約も行いました。
次の章では、実際の講座がどんな感じだったのかを紹介していきます。
座学(オンライン学習)14時間
実技を行うスクーリング日の2週間前にテキストとオンライン講座の設定案内が郵送で届きました。
オンライン講座の各章ごとにオンラインテストがあり、毎回60点以上を取ることが必須です。
各章のテーマと講座の所要時間は次の通りでした。
| 科目 | 講義内容 | 講義時間 |
|---|---|---|
| オリエンテーション | 養成講座の概要と注意事項 | 約15分 |
| 障害者福祉制度と移動支援事業 | 関連法規の内容と制定の背景、福祉サービスの内容(割引制度など) | 約2時間半 |
| 移動支援事業者の業務 | 業務範囲と業務遂行時の注意事項 | 約1時間半 |
| 移動支援者従業者の職業倫理 | 利用者の個人情報保護関連の説明が中心 | 約1時間半 |
| 障害者の人権 | "合理的配慮とは何か”についての説明が中心 | 約2時間半 |
| 障害の理解 | 障害の原因や身体の状態について医学的見地からの説明 | 約2時間半 |
| 障害者の心理 | 先天的か後天的かによる心理の違いや、コミュニケーションの取り方 | 約1時間半 |
| 移動介助の基礎 | 装具や車椅子の機能に関する基礎知識、支援時の注意事項 | 約1時間半 |
毎日1時間づつ×14日間だと区切りが悪いので、私は章ごとにまとめて視聴し、
視聴直後(内容を忘れないうち)にチェックテストを受けるという繰り返していくスケジュールに。
こちらが受講計画です。

私は無事に計画より1日前倒しですべての視聴とチェックテストをクリアできました。
途中途中で、遅れているのか前倒しできているのかを確認しながら進められるので、
まずは自分の予定に学習内容を仮置きしてみることがおすすめです。
チェックテストの難易度
知識ゼロからの学習であっても、オンライン講座視聴直後にチェックテストを行えば難しくありません。
なんとなくでも記憶が残っているのと、視聴時に合わせて読んでいくテキストから出題されるので、
記憶があいまいなところはテキストに戻って読み直せばそこに正解が書いてあります。
問題文はテキストの文章の抜粋で、9割以上が用語の穴埋め問題でした。
実技(スクーリング)
当初、自分以外の受講者たちは介護職経験者たちだと思っていたので、ちょっと不安がありました。
しかしそんな不安は全く不要でした。
受講者のほとんどがこれから介護職に就こうとしている方かホームヘルパー経験者。
介護や介助のベテランの方は一人もいませんでした。
講師も、受講者は全くの初心者だという前提で教えてくれます。
実技の内容:1日目午前
午前中は外出前の施設や自宅を想定して、寝ている人を、横臥位、座位にする練習。
介助相手の手や足の位置を変えるだけではなく、
介助する側の立ち位置や体重移動の工夫をするだけで難なく人の体を動かせることなどを身をもって学ぶことができました。
講師のお手本を見たまんんま真似してみるだけではまだ不十分で、
自分でやってみて、講師から修正ポイントを直接アドバイスしてもらった直後に、びっくりするほどできるようになる。
講師の直接指導があると全然違うと実感。
午前の最後には、外出先で食事介助を行うという想定で、受講者同士がペアを組んで食べさせあう。
ここは、障がい者側のもどかしい気持ちを体験するという貴重な機会。
「まだ飲み込んでないのに次の分スタンバイされると焦るんだけど~」
「口開けているのジロジロ見られるの嫌だなぁ」
「今のしょっぱかったから次はお茶を飲みたかった~」等々、
食べさせてもらう方は細かいことが気になる。
普段、自分の順番、自分の一口の配分、自分のスピードで何気なく好きなように食べられていることへのありがたみも湧いてきました。
この体験は、実際に介助する時に、利用者の立場になって気を利かせるということにかなり役立ちそうです。
実技の内容:1日目午後
受講者同士でペアになり、車椅子の押し方を学びつつ、車椅子に乗る側も体験。
前半は学校の中で押し方の基本を学び、後半は学校の周辺の道を車椅子で散歩していきます。
バリアフリー設計の施設内や自宅内とは違う外出先で、どんな道があっても適切に安全に車椅子操作を行うには、
この外出の訓練がとても大事。
いろんなタイプのでこぼこ道、様々な高さの段差、狭い歩道、車が多い道、坂にある横断歩道、
キャスター(前輪)を上げたままの不安定な状態で何メートルも前進しなければならないような溝だらけの道、
その道その道でいかに安定させるかといった所も、
押す側と乗る側の両方から一通り体験することができました。

実技の内容:2日目終日(外出体験)
車椅子操作のコツと注意点を一日目に一通り学んだので、2日目は実践。
受講者同士チームを組んで押す人と乗る人を交代しながら外出。
スクールから車椅子で出発し、歩道を歩き、電車に乗り、飲食店でごはんを食べ、トイレに行き、店で買い物をして、
また電車で帰ってくるという流れでした。
健常者であれば所要3時間で回れるコースでしたが、車いすでの外出では5時間もかかりました。
エレベーターを待ったり、混んでいる電車をやり過ごして次の電車を待ったり、
できるだけ段差の少ないルートを選んだり、多目的トイレを探したり、車いすで入れる通路の広い店を探したり、
安全を確保しながらだと、一つ一つの行動に1.5倍の時間がかかる。
外出プランを考えるにあたり、いつもの感覚の1.5~2倍の所要時間で考える必要があることを実感。
押す側と乗る側の両方の視点で町を見直すと普段の生活では気づかなかったことにも気づきます。
良かれと思って声掛けしていたことが実はありがた迷惑だったりすることがあることにも気づきます。
例えば、「お先にどうぞ」と道を譲ってくれる方もいましたが、
譲られたところでこちらはモタモタして、後ろが詰まってしまう。
それよりは「お先に失礼」と言ってさっさと先に行ってくれた方がありがたかったり。

ガイドヘルパー養成講座を修了して・・・
ガイドヘルパーは安全安心快適のためにどの道を通るのが最適か、どのくらいの所要時間がかかりそうかも考えつつ、
それでも業務対応っぽさを出さずに利用者が楽しめるように自分も楽しむということが必要。
ですが、道には思った以上にたくさんの難所があり、難所を見落としてしまうとガタっと衝撃がきたり、
傾斜に持っていかれそうになったり。
でも道の状態ばかりに気を向けていると前後左右からの危険に気づきづらくなる。
下、左右、前後と、障がい者自身に気を配りながら景色も楽しんで会話もしながらの移動は、
確かに専門的な学びを必要とする支援だなぁ、とも改めて思いました、
今この資格はほとんどの自治体で介護専門職にしか開かれていませんが、
介護専門職の方は業務多忙で、施設内や自宅内でのケアですら人手不足の状態。
利用者の外出支援、余暇活動のサポートまで手が回らないのが実情。
一方の利用者側にしてみたら、介護士でなくても外出支援を頼れる人がいればどんどん頼って
余暇活動を充実させ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を向上させたいですよね。
介護職ではなくても、障害者外出サポートをしたい人がせっかくいるので
共生社会を推進するのであれば、介護職以外の人をこの分野にどんどん投入していけばいいのに、と思っています。
非介護職の方で、ガイドヘルパーの資格だけあるという方は、着替えのや排泄の介助まではできませんが、
そこまでの介助を必要としない方もたくさんいます。
介護職でなければサポートできない障がい者と、非介護職でもガイドヘルパーがサポートできる障がい者とに区分けし、
社会にガイドヘルパーの人数が増え、ガイドヘルパーと一緒に外出する障がい者の姿が当たり前に見られる状態、
それが共生社会のあるべき姿ではないでしょうか。
ガイドヘルパー資格取得のためにかかった費用
- ガイドヘルパー養成講座 受講料 ¥22,100
- スクーリングのための新幹線代(東京ー大阪 1往復)¥27,740
- スクーリングのための宿泊費 ¥10,800
- 1泊2日分のその他諸経費(食費、宿から学校への交通費等) 約7,000円
ガイドヘルパー養成講座受講修了証(資格証)

全日程の受講が無事に終了すると、修了証が渡されます。
大阪府では、携行に便利な資格証明カードは配布されていません。
「同行援護(視覚障害者の移動支援)」の場合には大阪府でもカードタイプが発行されるようですが、
全身性ガイドヘルパーの場合には証書のみ。
※その他の都道府県では証明カードの発行がある場合もあります。
なお、大阪で取得した資格でもその他の都道府県で使えないことはありませんのでその点はご心配なく。

以上、東京から大阪まで行って全身性ガイドヘルパーの資格を取得してきた体験記でした。
講座の内容等はスクールによっても差がありますので、詳細は申し込み検討先のスクールに確認してください。
資格の名称、講座受講要件、講座の内容、証明書の形式、資格取得後にガイドヘルパーとして活動する場合の条件等、
何から何まで自治体ごとに異なるのでかなりわかりづらい資格制度です。
でも、自分が住む地域に受けられる講座がない場合でもあきらめる必要はありません。
介護士ばかりに障がい者支援を担わせず、多くの市民が障がい者支援活動に参加できる日が早く来ますように…